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3-心内膜炎で再入院
2014年12月26日~2015年1月30日

昨年2014年7月22日に手術入院して、その月25日に心臓手術で「弁」の置換手術と
大動脈血管2カ所のバイパス手術をそれぞれ行いました。
入院後19日目の8月9日に退院出来ました。この時の詳しい闘病記録は
ここへ
その後、まさか再入院するとは夢にも思いませんでした。

何らの原因で心臓の内側を覆う内膜(心内膜)に細菌の病巣ができて、
その菌が、前に手術交換した心臓「生体弁」に炎症を起こしたようです。
このまま放置しておくと心不全などの重篤な病気に陥る事もあり。
すぐさま菌の除去に取り組まなけれならないため緊急入院となった次第です。
この菌の除去には抗菌剤を点滴するが、数週間の治療がかかる様で長期間の闘いが始まりました。


まずは結論として退院時の医師の話へ

2014年11/25(火)
   14年8月9日術後退院してからウォーキングなどを行って順調に体力回復を図ってきました。
   所が11月頃からウォーキングに気力がなくなり、動悸も感じさらに体温が37℃以上も発熱してきました。
   これは風邪ではないようだと思い、11/25(火)大野病院の外来診療に行った。
   医師からは、血液検査で白血球がふえており(基準値8.7が11.7)、CRPが3+と基準外で、体内に菌が感染増殖し、心臓弁に
   影響を与えているようだ、と診断された。
   とりあえず「セフカペンピボキシル」という薬1週間分を処方され、24時間対応心電図を付け様子を見る事となった。

12/16(火)
   外来診療。感染症薬「サワシリン」21日間分処方された。血液検査では、白血球7.8と正常値に戻り、心エコーも異常なし。
   それでもその後の除雪作業では動悸を感じることがある。

12/26(金)
   外来診療。まだ心臓に動悸がある上、体温も37℃を超えている時もあるので、再度診察を受けた所が、体内に菌が増殖して
   いるようで
即日入院となった。
   抗菌剤投与の点滴を実施後、再入院の準備のため一旦家に戻った。
      *点滴静脈注射~ボトルやバッグに入れて吊るした薬剤を静脈内に留置した注射針から、少量ずつ一滴ずつ投与する方法
  
   白血球とCRP値が正常値に戻るまでこの点滴を10時と22時の2回行う。また、左足首と甲のむくみ原因不明だが湿布と脚底を
   冷やす処置を行われた。
   この左足むくみにはいつもきれいにして清潔にしておくことを看護師から言われた
   入院後も3日程38℃の熱に対し、熱さまし薬「カロナール」を投与される。後日28日に「血液培養」で採血される。
  これは血液中の細菌の種類を断定し、点滴の抗菌薬を選択するために行うもので、この血液培養は今後もたびたび行われた。

12/29(月)
   リハビリ室へ通う。自転車漕ぎで肺機能を高め、肩関節の運動療法をやってもらった。 また、翌日から病院内廊下をウォー
  キングし始めた。という事で点滴以外にリハビリ室通いとウォーキングでの体力作りで忙しくなった。

2015年1/1(木)       
   初めて病院で年を越した。元旦の食材も色とりどりで気配りされている 
    

1/5(月)
   リハビリ再開。理学療法士による「肩運動」療法は、肩回転領域が広くなってきて効果が出ている。
   点滴時間と薬が変わった。回数が5回となり薬もより強いものに変わった。
   また抗結核菌で感染対策用として<リファンピシンCap「サンド」>150mg赤色薬3個が、朝食前に服用する事になった。
   真っ赤色の尿が出て変化が出てきた。この薬投与は1月21日まで続いた。

1/8(木)
   心臓弁の詳しい様子を診るため「経食道心エコー検査」を受けた。通常の「心エコー検査」は胸から心臓を診るが、経食道心
   エコー検査は胃カメラで背後の食道から心臓を診るものでより正確に弁の状況が把握できるようです。
   結果この段階では弁に細菌が見られるようです。
   この検査には食道に胃カメラを通し易くするため、喉にゼリー状のものとスプレーで麻酔をおこなった。
   実際カメラを喉に入れてから約5分で検査は完了した。特に苦しくはなかった。

   点滴時間が今までの10時-14時-21時-22時-夜中2時の5回から、2時が無くなり朝6時に変更になった
   この夜中2時の点滴が無くなったので気分的に負担が軽くなった。

1/9(金)
   以前から服用していた毎食後の「カルボシスティン錠」(痰切り効果薬)が無くなった。

1/13(火)
   医師によると、この症状は菌血性(本来無菌であるはずの血液中に細菌が認められること)の感染性心内膜炎(かんせんせい
   しんないまくえん)と、症状名が判明した。
   これは心臓の内側に細菌が感染し、これによる心臓弁の穿孔などの炎症性破壊と菌血症を起こす疾患で、最終的には心不全
   (全身へ充分な血液が送れなくなる)
   また、心臓内の血栓が剥離し、脳の動脈に達すると脳梗塞になる危険性がある。

1/15(木)
   最近の点滴では液がうまく流れないとか、チューブの差し替えの時に痛みがあって、針先が腫れる時がある。このため針の指す
   腕を変える時グッサと痛みがあって苦労する。
   この腕の針先変更は2日毎に行っていたが、後日針先のいい場所が見つかったため変更することもなく、痛みも軽減されてほっと
   している。

1/18(月)
   本日廊下にワックス掛け作業が入った。この病院では患者が快適に過ごすために色々きめ細かく実施している。 
    ・毎日の部屋のごみ箱のごみ回収と部屋内モップ掛け清掃  ・毎週水曜日のシーツ取替  ・室内冷蔵庫のフイルタ掃除
     とか机やテレビの清掃  ・食事ごとに水とかお茶を各部屋に配達など

1/20(火)
   今月15日あたりから体重が
急激に減り始めた。1/20頃から60kgを下回った。
   食事は全部食べているし運動もしっかりやっており体調も悪くはない。どうも運動量の割に食事量が少ないようで栄養士さん
   と相談し、食事量を増やす事で様子を見ることになった。左足の甲と足首の腫れは引いたようだ。むくみがとれた。

1/22(木)
   点滴の回数と薬が変わってきた。点滴による肝臓に影響が出てきておりこの対策もある。
     9時ゲンタマイシン50cc  10時バンコマイシン100cc  21時ゲンタマイシン50cc 22時バンコマイシン100
     ccの4回の約3時間
   肝臓疾患対策として、「ケベラ」20ccを点滴でなく注射する。6時、14時、22時の3回実施


1/23(金)
   最近の血液検査結果の最新採血(1/23)によると、白血球5.9 CRP(判定)1+で改善方向にある。
   所が、肝機能の数値としては、GOT 125、GPT140 、γ-GT115 、LDH 279、(CPK65←正常)が正常値より高い。
   これは抗菌剤投与の点滴の副作用と思われる。


1/26(月)
  今日から「バンコマイシン」「ゲンタマイシン」の点滴がなくなくなった。あの煩わしい点滴がなくなり体もほっとしている。
  点滴の終わったので朝食後の薬500mg1個服用することになった。「クラビット錠500mg」経口抗菌製剤で、感染時に細菌など
  のDNA複製を阻害し殺菌作用を示す。

  目指すは退院時期だが、医師からは、その後の菌の様子を見るためまだかかるとのお話でした。

1/29(木)
  朝巡回の医師から、これから行う「心エコー検査」と「血液検査」の結果により、退院ができると言われたいよいよ最終段階に
  入った。

1/30(金)
  早朝5時の採血により早めに血液検査結果が出た。
  これによると肝機能項目では標準値に至っていないが、改善傾向にある。またと昨日の心エコー検査の結果によって、自宅での
  薬服用ができるとの判断から医師から退院許可がおりた。

  薬剤師から退院後に服用する薬28日分を、効能効果が書かれた用紙と一緒に手渡された。
  朝5錠、昼1錠、夜1錠のそれぞれ食後に服用するもので、特に朝の薬の飲み忘れが無いようにと言われた

  先月26日(金)に入院してからちょうど5週目(36日)になる長い入院生活でした。
  昨年の検査入院4日間、手術入院19日間を合わせると、計59日間大野病院でお世話になったことになる。
  病院では医師はじめ看護師、そのサポーター、リハビリ室そして管理栄養士、薬剤師といろいろな方にお世話になりました。
  ありがとうございます。
  外来診療でまたお世話になりますが、もう入院はご勘弁願いたいですね。

医師から退院に当たり面談があり、女房と一緒に伺った。

①今回の菌の侵入原因がわからないが、心臓の弁を交換しているので通常の状態の体ではない。
 今後の生活上の注意する事では、歯科での手術は当分(半年位)控える(行う場合は歯科医に事前説明)
 肩腔内注射は避ける。風邪には要注意。体は常に清潔に保つなど、菌の侵入には気を付ける。

②心臓病で交換した「生体弁」にはまだ菌が見られるが弁の働きに心配もないので、今後は抗菌剤を服用し続けて半年ほど様子を見る。

③今後月一度の外来診療で、血液検査、心エコー検査、レントゲン検査を行うが、菌によって影響が避けられない場合は、弁交換の再
 手術の覚悟が必要となる。
 この場合僧帽弁にも菌の影響があるので、初回手術と違ってリスクが大きくなる。



感染性心内膜症とは ~ 「日本心臓財団」HPから抜粋
感染性心内膜炎は、心臓の内側を覆う内膜(心内膜)に細菌の病巣ができて炎症を起こす敗血症のひとつで、早期診断と適切な治療が重要です。

 本来、心内膜はなめらかでつるつるしていますが、心臓病のある人や心臓の手術後などでは、心臓内の異常な血液の流れによって、心内膜に細かい傷ができることがあります。そこに血小板などが付着し、たまたま血液に入り込んだ細菌が付着して増殖すると、いぼ状の感染巣―疣腫(ゆうしゅ=こぶ)をつくります。心臓弁に疣腫ができると、弁や弁を支える組織が破壊されて急性の心不全などを起こします。また、疣腫のかけらが剥がれて脳の血管に運ばれると、そのかけらが詰まって脳梗塞や脳動脈瘤などの原因になります。脳以外の血管でも同じように塞栓症を起こす原因になります。

 血液中に細菌が入り込む原因は、抜歯など歯科治療や虫歯から口腔内の常在菌が侵入する場合や、泌尿器科や産婦人科の手術の際に侵入する場合などが考えられます。
通常は細菌が血液内に侵入しても、白血球が働いて退治してくれますが、一時的に心臓に入り込んだ菌が、心内膜に傷があるとそこに付着し増殖して心内膜炎が発症するのです。
このように感染性心内膜炎は、心臓病を持っている人に起こりやすい病気です。主な症状は発熱で、長く続くのが特徴です。ほかに関節痛や筋肉痛、末梢血管がつまることから指先などに痛みをともなう赤い斑点がみられることもあります。この疾患には特別な自覚症状がないため、風邪や膠原病との鑑別が重要です。

 診断には、聴診や心エコー検査、血液培養による細菌の有無と種類を特定する検査が行われます。
 治療は、特定された病原菌に効果のある抗生物質を長期間投与しますが、心不全など重篤な合併症がある場合は緊急手術も行われます。

心臓病のある人や心臓の手術をした人は、発熱が続いたら感染性心内膜炎を疑い、専門医を受診しましょう。とくに虫歯などの治療をした後は注意が必要です。心内膜炎を放置していると、弁膜症や心不全、脳卒中など重篤な疾患の原因になりますので、早期発見、早期治療が大切です。

●<抗菌剤について>~ 「役に立つ薬情報その1」   「役に立つ薬情報その2」 各HPから抜粋
細菌感染症は重篤な状態に陥ることがあります。肺炎や敗血症など、感染症が原因で死に至ることもあります。
感染症は微生物によって起こります。そこで、原因となっている細菌を排除すれば、感染症から立ち直ることができます。

病原微生物の排除に最も重要な機構は免疫です。私たちが簡単には感染症に罹らないのは、免疫が監視しているからです。また、風邪などを発症しても自然に治るのは、免疫が働いているからです。

ただ、中には免疫の状態が悪くなっている方がいます。例えば、高齢者や乳幼児では抵抗力が弱いです。また、高齢者で糖尿病などの疾患を患っていたり、抗がん剤などを服用していたりすると、これによっても免疫力が低下します。

このような場合、感染症に罹りやすくなります。また、感染症を発症しても治りにくいです。そこで、抗生物質を使用します。抗生物質によって細菌を殺し、免疫の働きを補助するのです。

抗生物質の共通点は「細菌だけに毒性を示す」ことです。ヒトには毒性を示しません。これは、ヒトと細菌の違いを見極めます。

心内膜炎や髄膜炎のように、血中に菌が入って全身に広がる危険な腸球菌感染症は、菌の細胞壁合成を阻害するペニシリン・セファロスポリン系の抗菌剤(ベーター・ラクタム剤)かバンコマイシン系抗菌剤のどちらかに、タンパク質合成を阻害するストレプトマイシンやカナマイシンの仲間(アミノ配糖体)の1つを加えて、2種類の抗菌剤の協力作用によって治療する。

 「バンコマイシン耐性腸球菌」は人間の腸内にいる腸球菌の中で、ほかの抗生物質が効かない耐性菌にも効果がある強力な抗生物質「バンコマイシン」でも効かない菌のこと。 腸球菌はベーター・ラクタム剤にも、アミノ配糖体にも順次、耐性を獲得したため、今では信頼して使える抗菌剤はバンコマイシンだけになった。

<ゲンタマイシン>

感染症を治療するために使用される薬としてゲンタマイシン(商品名:ゲンタシン)があります。ゲンタマイシンはアミノグリコシド系抗生物質と呼ばれる種類の薬になります。

抗菌薬には、細菌を「殺す」ことで作用する薬と細菌の「増殖を止める」ことで作用する薬の2種類があります。ゲンタマイシンは前者の殺菌性の抗菌薬です。

幅広い細菌に対して効果を有する薬がゲンタマイシンです。専門用語では、「ゲンタマイシンの抗菌スペクトルは、グラム陽性・グラム陰性菌と広域にわたる」となります。多くの抗菌薬が効きにくい「緑膿菌」に対しても、ゲンタマイシンは効果を示します。

ゲンタマイシンを注射薬で使用する場合は腎障害と聴力障害の副作用に注意する必要があります。腎臓に影響を与えたり、耳への障害性によって平衡感覚や聴力に支障をきたすようになるのです。

副作用を避けるためには、薬を投与する前に「血液中の薬物濃度」を十分に下げておく必要があります。専門用語では、「トラフ値(血中濃度の最低値)を下げる」と表現されます。

<バンコマイシン>

抗生物質の中には、細菌を殺すことで「殺菌的」に作用する物質と増殖を抑えることで「静菌的」に作用する物質があります。バンコマイシンは前者の殺菌的に作用する薬です。

抗生物質の使用に当たっては、耐性菌が問題となりやすいです。耐性菌とは、抗生物質が効かない菌のことです。耐性菌によって感染症を発症すると、抗生物質を投与しても症状が改善しにくいです。

これらの耐性菌に対して有効な薬として昔から使われてきた薬がバンコマイシンです。耐性菌に感染したときに使用される薬であり、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの耐性菌にも使用できる数少ない薬です。

細菌の細胞壁に対して立体的に作用するため、従来は「耐性菌が発生しない薬」と考えられていました。しかし現在では、バンコマイシンに耐性をもつ細菌が報告されています。VRE(バンコマイシン耐性腸球菌)やVRSA(バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌)などは有名です。

腎毒性や聴力障害などの副作用がある薬であり、投与を行う際は慎重にならなければいけません。実際に使用する時は「血液中の薬物濃度を測定する」「60分以上かけて点滴静注する」などの細かい決まりがあります。

なお、バンコマイシンは腸から吸収されないため、一般的な感染症に対しては飲み薬で治療しない。注射によって直接体内へ投与します。

このような特徴により、耐性菌に対抗するために使用されるものの、同時に慎重に投与しなければいけない薬がバンコマイシンです。